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「こ・・・これは思ったより大変だな」
内心(ミロの奴 とろい!)と思っていたが 口にしないで良かったと思いながらアイオリアは呟いた
結構どこにどの文字キーがあるのか探すのが大変だ
それでも数十分格闘して 何とかアイオロスが作ってくれた文章を打ち終えた
そんなところへ あまり来て欲しくない男が通りかかった
「ん?なんだその道具は?」
「デ、デスマスク!や、やあ! これはだな イリジウムパソコンといって
作った手紙がどこからでも瞬時に相手に送れるというモノだそうだ」
ミロが一応丁寧に説明すると デスマスクはアイオリアからパソコンを半ば横取りし
「ふーん どれ試してみるか」
と言って右手を上に挙げた
「まさかデスマスク!・・・待て!!」
アイオリアが叫んだときは しかし既に遅かった
デスマスクは頭上に積尸気を作り その中へパソコンと一緒に入っていってしまった
かなり嫌な予感がするものの 積尸気の中へは入りたくない二人は おとなしくデスマスクの帰りを待った
しばらく待っていると デスマスクは使い方が分かっていたのかは謎だが
一応ちゃんと戻ってきて 二人に言った
「わはは 向こうではダメだったぞ」
「全く・・・余計なことを試す奴だな」
ミロが疲れたように言うと デスマスクは まあまあ とミロの肩を叩きながら
パソコンをアイオリアに手渡し そそくさと消えていった
「おいミロ!これってさっきの画面と違うんだが・・・」
そのアイオリアの不安げな声で振り向いたミロは 急いでパソコンを覗き込んでみた
「む?本当だ!どうしたんだ?! ・・・さては デスマスクの奴 何かいじったな!!」
「どうりで逃げるように去った訳だ!おのれ許さん!!」
アイオリアは早速怒りの小宇宙を点火させ デスマスクの後を追おうとした
「おい落ち着けアイオリア!デスマスクなんて後でいくらでもやれるだろう?
それより この事態を解決するのが先決だ!」
ミロは冷静にアイオリアを引き止めた
「・・・くっ!そうか・・・それもそうだな・・・ リクエストだしな」
アイオリアは妙な納得をすると素直に怒りを治め考えた
「誰か分かる奴はいるか?」
「うーむ アルデバランも もう頼れなそうだし
自分らでいじって もっとおかしくなっても困るしなあ・・・あ!あいつ!!
もしかして分かるかな?おーい!ちょっとこっち来てくれーっ!!」
ミロの呼びかける先には魔鈴がいた
近くを歩いていた魔鈴は呼び声にすぐ気づき 側にやってきた
「呼んだミロ?アイオリアもごきげんよう」
「君はこれの使い方分かるか?」
ミロはアイオリアが持っているパソコンを指して尋ねた
「どれ?ああパソコンね 基本的なことなら分かるわよ 何をしたいの?」
「実は教皇の勅命により アテナにメールを送らなければならないのだ」
アイオリアは至って真面目な表情で魔鈴に助けを求めた
「なんだメールなら簡単さ ほら この手紙マークを選んで押して・・・」
魔鈴の説明に沿って手順をふむと 先ほどまで格闘していた見覚えのある画面が現れた
「おお!ありがとう魔鈴!!恩にきる!!・・・しかしさっきのをまた打ち直しか・・・」
アイオリアは大きく溜め息をついた
「さっきのって?」
魔鈴に訊かれて ミロは今までのことを詳しく説明した
「それってこれのこと?」
話を聞くと魔鈴はアイオリアの横から手を出してパソコンをいじり
下書きトレイに保存されていたメールを開いて二人に見せた
「あ!そうだこれだ!!おお生き長らえていたか・・・!!」
アイオリアは興奮して声を上げた
「すごいな魔鈴!どうしてそんなに詳しいんだ?」
ミロも感心して言った
「メールはちょくちょくやっているのよ ええと そうねシャイナとかとね」
「ふーん 君らは進んでいるなあ!!」
「本当に アルデバランもそうだが聖闘士でも使いこなせる人がいたなんて驚いたな」
アイオリアとミロは 感嘆して顔を見合わせた
「別にそんなすごいことでもないわよ それよりこのアテナへのメール ちょっとお堅過ぎない?」
魔鈴はメールを読みながら言った
「そ・・・そうかな?兄さんが考えてくれたんだが・・・」
「アテナは気軽にって言ってたんでしょう?きっとこんな生真面目な内容じゃなくて
聖域での日常の様子とかちょっとした出来事とかを知りたいんだと思うけど・・・」
魔鈴は視線を画面から背後にいるアイオリア達に移しながら言った
「・・・と言われても それもどう書いたらいいか難しいところだな」
ミロは腕を組みながら頭をひねった
「第一これギリシア語で打ってあるけど アテナはあんまり読めないんじゃなかった?」
「ハッ!そういえば読み書きはまだ日本語しか出来ないって言っていたような・・・」
アイオリアとミロは 魔鈴に指摘されて初めて基本的なことを見落としていたことに気づいた
「・・・・・日本語・・・・・」
アイオリアとミロは 強く訴える眼差しで魔鈴を見つめた
「な なに 二人ともその目は・・・」
「魔鈴!!頼む!!!」