― ４ ―
アイオリアとミロはそれぞれ両側から魔鈴の肩に手を置いて頭を下げた
「君なら日本語も出来るよな？おれ達を助けてくれ！！」
二人の懇願する様子が可笑しかったのか 魔鈴はフッと笑うと
「そんな黄金聖闘士二人に頼まれて断れる訳ないじゃないか
いいよ 幸いちゃんとこのパソコン日本語フォント入っているみたいだし 代わりに日本語に打ち直すよ」
と頼みをきいてくれた
カチャカチャ・・・
魔鈴はアイオリアたちの打ったギリシア語を２、３分で日本語に打ち直すと 振り向いて訊ねた
「さ まあ文章はお堅いままだけど 今回はとりあえずこのまま送っていいでしょう？」
「我々はよく分からんから全部任せる」
「うむ お願いする」
アイオリアとミロの言葉を確認すると 魔鈴は早速送信の作業を行なった
イリジウムパソコンは 直ちに通信すべく衛星に向かって電波を飛ばし出した
しかし様子を見守っていた魔鈴は
「れ・・・あれ？おかしいわね 上手く接続されないわ」
と言いながら首をかしげた
「どうしたんだ？デスマスクのせいでやっぱりおかしくなっているのか？」
ミロは不安になりながら訊いた
「いや多分パソコン本体には問題ないと思うんだけど・・・電波が上手く送られないみたいなのよ
どこかで妨げられてしまうみたいな・・・」
「アイオリア！おまえまた何か電波を出して邪魔しているんじゃないだろうな！」
ミロは思いっきり疑いの目でアイオリアを見た
「人聞きの悪いことを言うなミロ！オレは今何もしていない！！」
確かにただ見ていただけで何もしていないアイオリアはむっとして答えた
仕方なく何度か挑戦を繰り返していると
サラサラの髪をなびかせて 静かに一人の黄金聖闘士がやってきた
「私の瞑想を邪魔するものが ここにいるようだが・・・」
『シャカ！！！』
３人は異口同音に叫んだ
「これだ 私の瞑想を妨げたものは」
シャカはもちろん目を閉じたままだが 魔鈴からパソコンを取り上げるとそのまま破壊しようとした
「うわー待てシャカっっっ！！」
ミロとアイオリアは慌てて二人がかりでシャカを抑えこんだ
「何をするんだね 君たちは！」
「それはこっちの台詞だシャカ！これはだな・・・」
アイオリアがシャカを抑えミロが説明をしている間に
魔鈴はすかさずシャカからパソコンを取り返し 手早く送信をし直した
ピッ “送信完了”
「やったか魔鈴？！」
その音を耳にして ミロが訊いた
「何とか出来たようよミロ アイオリアもシャカを放しても大丈夫さ」
「ふう これで何とか任務を果たせたか」
アイオリアはシャカから手を離しながら安堵の声をもらした
「はあ〜サンキュ魔鈴！助かったぜ」
ミロも大きな溜め息をつきながら言った
手間を増やしたシャカは いつのまにかさっさともう処女宮へ帰っていた
「いや〜思ったより大変な任だったな」
アイオリアはパソコンを片付けながら ようやくこの任務の大変さを実感した口調で言った
「・・・俺はまあ予想通りだったが 一応無事に遂行できて良かったよ
さて じゃあ教皇に報告しに行くか」
「そうだなミロ では行こう！ 魔鈴！今日は世話になった 本当にありがとう！！」
アイオリアは極上の笑顔をみせると ミロと共に意気揚揚と教皇の間へ向かって行った
「フッ アイオリアらしいわね・・・」
魔鈴は二人の後ろ姿を見送りながら呟いた
「さて 私は自分のパソコンから アテナに今日のメールを送るとするか
フフフ 今日は書くことが多くなりそうね」
魔鈴は楽しそうに独り言を言うと
日課であるアテナへのメールに どう書こうかと考えを巡らせながら
家路へ向かった
― 終 ―
このお話に因んで霧島羊子さまから素晴らしいマンガを頂きました。
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