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しばらくすると そこへ1人の少年が 顔をほころばせながらやってきた
「やあ やってるな!」
陽のまぶしさと張り合うような明るい金髪の・・・やはり同じくらいの歳の少年である
ムウはストレッチをしながらも 誰だろう?とアイオリアとアイオロスの方を見ると
前方にいるアイオリアが腹筋をしたまま親しげに声を返した
「あれ!また聖域に来たのか?」
「あっおれミロっていうんだ よろしくな!」
ミロという少年は アイオリアの質問に答えるより先に 後方にいた自分に目を合わせて にかっと笑ったかと思うと
視線をアイオリアに移して話を続けた
「またはないだろうアイオリア?そうほら今日また就任式があるから それで先生についてきたんだ」
「へえー今日あるんだ!」
アイオリアは腹筋を中断して話に注目した
「そういえば・・・列席するよう言われていたな
そうか ミロの先生は就任式でいつも立ち会い人を務めているラクレウスだったな」
アイオロスは思い出すと 確認するようにミロの方を見た
「うん!それで連れてきてもらったんだ!」
「就任式って それは黄金聖闘士の就任なのですか?」
様子を伺っていたムウはストレッチをやすめ 先程の噂話を思い出し訊ねた
「そうだ ブロンズやシルバーだったらいちいち就任式など行なわん
黄金聖闘士が誕生した時だけするものだからな
では逆に君たちに訊こうかな 何故ゴールドだけ就任式を行なうか・・・判るか?」
「うーんと・・・・小宇宙が大きいから?」
「聖域で認められないといけないから!」
「聖衣が聖域にあるから?」
「はははは・・・みんな当たってるかもしれんな
いいか?黄金聖闘士はただ聖衣の色が黄金で小宇宙が大きいだけじゃない
ブロンズやシルバーと明らかに異なる黄金聖闘士特有の点がある それは何だ?」
「ゴールドだけのこと・・・?」
アイオリアは眉をひそめて呟いた
ミロも首をひねっている
数刻の間をおいてムウが口をきった
「・・・あ!12宮・・・ですか?」
「そのとおり!私たち黄金聖闘士はそれぞれ守護宮を任される
教皇の間 そしてアテナ神殿へと続く重要な位置だ」
3人はじっとアイオロスの話に集中した
「だからこそその12宮を任される者は 聖域にはもちろんのこと
教皇やアテナに正式に認められてこそ 真の黄金聖闘士となれるのだ
もっとも・・・今アテナは実際には不在だがな」
「そっか・・・考えてみれば12宮を預かるってすごいことなんだな」
ミロは12宮を見上げて言った
「何を言う 君らも黄金聖闘士を目指しているのだろう?」
「はい!」
3人は異口同音に返事をした
「はぁ・・・でも兄さんに追いつく日なんてまだまだだよ」
アイオリアが元気の良い返事の後に溜息まじりにこぼすと
「でも・・・早くなれたらいいな」
アイオリアのことを言ったのか自分のことを言ったのか
ミロもぽそっと言って 口をぎゅっと結んだ
「しかし・・・」
それがくせなのかアイオロスは再び腕組みしながら言った
「今日就任する黄金聖闘士は一体どんな者だか気になるところだな」
「黄金聖闘士の貴方でも知らないのですね」
ムウは意外に思い 目をまんまるくして訊いた
「うむ 何座かも聞いていない」
「黄金聖闘士っていうと・・・兄さんとジェミ二のサガと・・・シュラもそうだったよな」
アイオリアが指を折りながら名前を挙げる様子をみて
「ライブラもだよ!あ、あとピスケスも最近なったはず!」
と、ミロも言葉を加えた
「一体どの宮を守る者なんでしょうか・・・」
ムウは内心 自分の星座である牡羊座であったら・・・と不安を抱きつつ呟いた
「さてね・・・さあ練習再開しよう!ミロも一緒にやるか?」
アイオロスは気持ちを切り替えミロに呼びかけると ミロは快活に返事をして練習に加わった
「アイオロスさま!」
ミロを加え再び練習の体勢に入ると 今度はアイオロスづきの雑兵がやってきた
「何だ」
「はっ!就任式を執り行なう故教皇の間にお集まり下さい との教皇よりのお達しです」
「もうそんな時間か・・・分かった すぐに向かうとお伝えしてくれ」
「はっ!」
「すまないな 相手をすると言っておきながら・・・また後で時間があったら相手になろう」
アイオロスは残念そうに微笑むと一瞬のうちに人馬宮へ消えていった